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No.0722:クリスマス秘話

No.0722:クリスマス秘話

火あぶりにされたサンタクロース

  • クロード・レヴィ=ストロース著
  • 角川書店刊

(Amazonサイトへ)


「ThinkiM社のM・H氏より、昨年のクリスマス前に届いた「OHAGI通信」からです」

●今週の「でんごんばん」をお届けいたします。

今週は、「でんごんばん」仲間の読書愛好家M社のM・H氏の
「OHAGI通信」でいただいた興味深いお話の中からです。

「OHAGI通信」はいつも新しい発見、興味深い本を教えてくれます。

●NO722「クリスマス秘話」⇒12月25日がクリスマスになった理由。

●NO723「過去は新しく未来はなつかしく」
  ⇒以下本文より
   「数学を駆使したエッセイの断片をもうひとつ。
    サンタクロースは実在するけど見えない、という説明。
    サンタさんは12月24日のたった一日で全世界を回らなければなりません。
    一日使えるとして、24時間は86,400秒。全世界の世帯数を
    仮に30億世帯とすると1世帯に滞在できる時間は「3万分の1秒」。
    これではどんなに目を凝らしても見える訳が無い、のです。」

サンタクロースを信じない人に教えてあげてください。(笑)

●NO724「ちゃんと見えましたか?」

●NO725「何色に見えますか?」

いろいろなものは、本当に正しく見えているのだろうか。疑いが生まれますよ。

●いよいよ週末はクリスマス。仏教徒の小職(著者)ではありますが
やはり何だかワクワクと楽しい気持ちになります。
そんな季節に相応しい『火あぶりにされたサンタクロース』(角川書店)
クロード・レヴィ=ストロース 著をOHAGI通信としてご紹介します。

サンタクロースが、昨日午後、ディジョン大聖堂の鉄格子に吊るされたあと
大聖堂前の広場において人々の見守るなか火刑に処された。
この派手な処刑は教区若者組に所属する多数の子供たちの面前で
おこなわれたのである。
この刑の執行は、サンタクロースを教会の横領者にして異端者として
<有罪>の判決を下した聖職者の同意のもとに決定された。

●上記はフェイクニュースでも品の無いジョークでもありません。
1951年のクリスマス・イブにフランスで起こった事件です。
1951年、カトリック教会の権威筋は、神聖なキリスト降臨祭を
サンタクロースなる人物で異教化し、宗教的な価値のない単なる神話の
方向に逸脱させる教会的には望ましくない傾向と非難しました。

そして、サンタクロース(人形ですが)が火あぶりの公開処刑に処せられた
のです。このことにより、現在の私たちの印象と異なり、
サンタクロースは、逆説的に無宗教のシンボルとなり、「贈与」や「増殖」の
(異教徒的な)人類の古い思考と共に資本主義精神の体現者として位置
付けられてくる、そんな分析が鮮やかに解き明かされます。
本書を読むと「クリスマスはキリスト教世界の生んだ習俗の世界的ヒット作」
であることが判ります。

●「キリスト」は名前ではなく「救世主」という意味であることは知られて
いますが、「クリスマスって何の日?」と尋ねると「キリスト様の誕生日」
と思っている方も多いと思います。
実はクリスマスはキリスト様の誕生日ではありません。
聖書にはキリスト様の生まれた日については、ひと言も触れられていない
そうです。諸説ある中で、少なくともキリスト様が生まれたのは冬では
なかった、というのが有力な考え方なのだそうです。
確かに真冬の馬小屋に泊まったりなんかしたら凍死しちゃいますね。
出産なんて無理ですね。

●どうして12/25が祝われるようになったかというと、元々この日は
大きな冬至のお祭りがローマで行われていた日だったそうです。
キリスト教がローマの国教になった時に、「キリスト様の誕生日が
どうせ正確に判らないなら、冬至のお祭りの日に一緒に祝おう」
ということで、生誕祭として位置付けられるようになったそうです。
そのため「誕生日」ではなく「降誕を記念する日=降誕祭」と称するのですね。

●サンタクロースのモデルは、4世紀頃の聖ニコラス(Saint Nicholas)だと
いうのは有名ですね。サンタクロースの服が赤いのは、コカ・コーラの宣伝
で赤い服と白い髭のイメージが拡がったから、という都市伝説がありますが
諸説ある中では「カトリック教会の祭服は赤い色だったから」というのが
有力なのだそうです。

●クリスマスツリーには、モミの木などの常緑樹が使用されます。
これは古くから常緑樹が「永遠の象徴」とされるためなのだそうです。
ツリーをクリスマスに飾るようになった背景には、古代ゲルマン民族の
土着信仰に関わりがあるとのこと。古代ゲルマン民族は
寒さに強い樫の木を永遠の象徴として崇拝していました。
そこでキリスト教の宣教師が、彼らを改宗させようと樫の木を切り倒した
ところ、すぐ側からモミの木が生えてきました。
そこから、モミの木をクリスマスツリーとして使う習慣が定着したと
されています。これもキリスト教と異教の融合ですね。

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