No.0723：過去は新しく未来はなつかしく

「この星で生きる理由 過去は新しく未来はなつかしく」

• 佐治 晴夫著
• アノニマ・スタジオ刊

（Amazonサイトへ）

●私たちは、未来を変える自由を「今」持っています。
そして、「今」という瞬間は
過去からの集積の結果としての「今」なのです。

これからの未来をどう生きるかによって
その時々の「今」の集積として降り積もっていく過去は
未来によって新しく塗り替えられていくことになります。

●過去が未来を決めるのではなく、これからどう生きるかによって
過去の形が変わる。その時は嫌だなと思っていたことがあるから今がある。
つまり、これからがこれまでを決める。
　
●過去が未来を決めるのではなく
未来がそれを生み出した過去の価値を決めていくと考え
過去へのこだわりを捨てる。

「今まで」ではなく「これから」が「これまで」を
そして「今まで」の価値を決めると考える。
現在の行動を変えることで未来を変えられることを理解する。
それが、より素晴らしい未来をつくり出す、ということです。

●私たち生物は、同じ場所にとどまっていては
生きていくことが出来ないように設計されているそうです。
生物が生息する環境は常に変化していて
生物はその環境に適合するように
自らを変えていかない限り、生き続けることが出来ません。

生物である人類も然りで、時々は環境を変え、変化に適応することで
自分をアップデート出来るのです。
引越をしたり、旅行をするなど自分の環境を変えることで
様々な刺激を受けられ、新たなチャレンジの契機になります。

●セネカの「人生が短いのではない。我々がそれを短くしているのだ」
という言葉も紹介されています。
セネカの箴言と言えば「日ごと別個の生と見なすべし」や
「それがあたかも全人生であるかのように
毎日を生きるよう私は努めている」
も有名ですが、同様の意味ですね。

●因みに、設計者にとっての座右の銘に値するセネカの箴言は
「すべての芸術は自然の模倣である」だと思います。
個人的には「誰かに起こりうることは、誰にでも起こりうることである」
も好きです。

脱線したので元に戻ります。
人生をより長く、濃く生きるためには
「新しいことや新しい人に出会う」ことが大切だと著者は述べます。
毎日新たな出来事をデザインすることで多くの刺激を得て
驚きや新鮮さと出合うことによって細胞が活性化され
好奇心旺盛な子どもの頃のように時間の厚みを感じることが
出来るでしょう。それによって、私たちの人生はより充実し
豊かな毎日になる、ということなのです。」

●「俳句の5・7・5の比率は1対1.4で√2に近く
日本の美意識は√2が大きな役割、という論も興味深いエッセンスでした。」

●「数学を駆使したエッセイの断片をもうひとつ。
サンタクロースは実在するけど見えない、という説明。

サンタさんは12月24日のたった一日で全世界を回らなければなりません。
一日使えるとして、24時間は86,400秒
全世界の世帯数を仮に30億世帯とすると
1世帯に滞在できる時間は「3万分の1秒」。
これではどんなに目を凝らしても見える訳が無い、のです。」